気が付けば辺りは真っ暗で、道の途中途中にある街灯が光るだけだった。
アゲハは学校の門の前に来ていた。
そして、門を軽々と飛び越えて、スタスタと歩いていった。
『まだ蕾だね……。』
アゲハが着いた場所は裏庭の一番奥の桜の木だった。
『早とちりだね。皆はまだ蕾すらつけてないし、気温だってまだ冷たいし。』
まるで自分の様だった。
皆より早く蝶になった。
だから一人ぼっちで心細かった。
ドジして蜘蛛の巣にひっかかった時はもう駄目だと思って諦めていた。
その時、高島君に助けられた……。
また会いたいと思った。
側にいたいと思った。
でも、今は……
『また一人ぼっちになっちゃったね。』

