「俺がさ、小さいとき。たぶん、小学一年くらいのとき。家が火事になったんだよな。そんとき、俺学校にいてわかんなかったんだけど、親父とおふくろ一緒にいて、親父は一階にいたんだけど、火事があった二階にいたおふくろは焼け死んだんだ。」


なんだか、幼く見える翼はとても私には経験してきた事もないほどの、大きな荷物をしょっているようだった。


「お…親父さんは、助けにいかなかったの?」


「ああ。そんとき、親父昼時だったから、昼寝してたんだってさ。んで、起きたら周りが火だらけで……。んで、周りには消防隊だいっぱいいて、火事なんだなって分かったらしいけど。一回消防隊の人につれられて家を出たら、二階からすんげえ火がでてて、たぶん、おふくろ火をつかって昼食作ってたんだろうね。親父は、おふくろを助けにいこうとしたけど、ショックで気を失ったんだ。もし、あの時気を失っていなかったら、おふくろを助け出して、おふくろが生きていたかもしれない、なんて親父は、言ってたのよ。まあ、今は少し、落ち着いたみたいだけど。」



翼はそういって、


「ってか、俺どんだけ、しゃべってんだよ。」


なんて笑い飛ばして、必死にさびしいのをごまかした。そんなの……そんなの……




ばればれすぎるよ。隠さなくていいのに。辛かったね。悲しかったね。



翼は、その時から、後悔っていう言葉が嫌いだったんだね。



だから、無理して、自分のしてきた事は正しいなんて思おうとしたんだね。




「翼の親父さんは、悪くないよ。もし、その時おふくろさんを助けにいったら二人とも死んじゃったかもしれないし、消防隊も、やめろって引き止めるだろうし。」



そういって、私はおきあがろうとした。すると、流れ星がつー。っと星空を横切った。



「あ!流れ星!」


私はばっと起き上がると、願い事考えてないことに気がついた。



「晴笑。俺、強くなる。」



翼も起き上がり、私のほうを見て言った。