涙はとまらなかった。もう、どうだっていいと思ってるのに。



涙は、枯れないもんだ。


と、その時。



「ふざけんなよ。おじさん。」




私の好きな温かい声。そこには、一人の少年がたっていた。




たい……よ…う?



「こいつから、離れろ。」


「はぁあ?ガキがよ。黙ってろカス。殺すぞ」


おじさんはそういって、チッと舌打ちすると、私を強く抱き寄せた。アルコールのにおいはまだある。



そのとき、少年はおじさんを、拳で殴り始めた。一人…二人…とおじさんたちはよろめき、逃げていく。



暗くて、よく見えなかったけど、少年は最後一人のおじさんを殴ると、優しい表情でわたしの方を見た。



その目は、とてもなつかしいものだった。



「ばぁーか!!やってんだよ!」


その言葉を聞いた瞬間、涙がまたあふれた。



そこにいたのは



翼だった。