それからの事は、あまりよく覚えていない。


ただ、暗い帰り道をフラフラしながら歩いていたような気がする。


手すりのようなものにつかまらないと真っ直ぐ歩けない。


まっすぐ歩いている感覚がなかった。



明日、運動会か。


そして、なぜか涙がでた。


そして、溢れた。



翼を思うと、辛かった。


そんなに抱え込むんじゃねー。


翼は今までこのことを一人で抱えてきたのか?


二人の命を背負っていく必要なんてねーよ。


もし、舞が死んでも、それは翼のせいじゃねー。



「―――っう。―――っちくしょー。」



男の涙ほど恥なものはない、なんて誰が言ったのだろう。



男だって、泣きたいさ。


どうか、今日だけなかせてください。


思いっきり、声出して、泣かせてください。



そして、俺は



赤ん坊のように泣いた。