「……っなんで?なんで?」


陽はもう落ち、辺りは外灯のかすかな光だけで、他は空に輝く星の光で、しんとしていた。時々、自転車のベルの音や、家の中から聞こえる家族の笑い声が聞こえてきては、消えた。



私は、何をしに、ここまできたのだろう。もう一歩も歩けなくて、その場にひざをついて遠くの海をただ、眺める事しかできなかった。



ざぁーっと一気に波がこっちにやってきたかと思ったらすーっと波は海に消えていく。



それの繰り返し。きっと人生も。そう。



一回転機がやってきたかと思えば、その幸運は、どっかにいってしまう。



いくら、もう少しで手が届きそうなものでも、結局は逃げられる


そして、後から気づくんだ。「ああしとけば、捕まえられたのに」って。



後から気づいたって何の意味もなにのに、なんで、人間は後から気づく生き物なのだろう。




きっと、私はずっとそうして後悔し続けるんだ。


くやしいけど、それが自分の運命なのだろう。



もう、いやだ。いやだよ。いやすぎて、辛すぎて、涙でてくる。



泣かないって決めたのに。泣いたら、あきらめる事になるよ。わかってるのに。




「――――――っぁぁああ。っぁあああ」



この海に、神様がいるなら願います。




どうか翼の元へ行けますように。