そんな事を考えていながら、どれだけ時間が過ぎただろうか。もう、下校してくる中学生や小学生の声が聞こえてきた。



私は重い体をゆっくりと起こし、辺りを見た。


草原には、雪解け水が葉っぱの先で輝きながらゆらゆらと風にそよがれゆれていて、とても綺麗だった。



私は、これからどうしていったらいいのだろう。翼をあきらめられるわけはないし、ここで引き下がってはいけない気がした。でも、翼は、舞ちゃんのことが好きだから、私が翼と両思いになる確率は少ない。



でも、なんで私は翼が嘘をついているのだと思うのだろうか。



翼は、舞ちゃんのことが好きだと嘘をついているようにみえる。理由は上手くいえないけど、最近翼と舞ちゃんが一緒にいるところを見たことがなかったし、学校帰り、ファーストフード店で、舞ちゃんが言ったあの言葉がなぜか、耳に残っているのだ。




“はあ?晴笑さんと翼、友達以上だと思うけど?”



それは、あの時。翼と私が偶然ファーストフード店で会って、話していたところを舞ちゃんに見つかって、呼び出されたときだった。



舞ちゃんは、はっきりとこういったのだ。舞ちゃんは、私と翼の関係を友達以上だと思ってるらしかった。前、会ったときは「翼は私のものだ」って言い張っていたのに。



その、短い期間で、舞ちゃんの言ってる事が食い違っているというのが事実。



舞ちゃんは、たぶん翼の本当の気持ちを知ってるんだと思う。




“まだ、気づいてないの?”


そういってあきれたような顔で言った舞ちゃんの言葉。




“んー。わかんない。だって、翼の心はいつも見えないから。”






なにかの暗号なのだろうか。キーワードなのだろうか。



翼の心はいつもみえない。



舞ちゃんはそう思っている。