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あの日から、一週間くらい経った。毎日のように降る雪もみんなは当たり前と、とらえているようだった。


制服はいつもよりひんやりしていて、冷たい。私はおもわずブルッと震えた。そして、それと同時に鼻につーんとくる痛みが私を襲う。冬はそういうところがなんか嫌だな。


「―――――よしっ!いってきます」


元気に叫んで携帯を開いた。時刻は七時三十分。まだ間に合う。余裕、余裕。


携帯の待ち受け画面には、運動会のときにみんなで撮った集合写真が大きくのっていた。みんな嬉しそうに肩を組んで拳を上に上げている。私もとびっきりの笑顔で大きな口をあけて笑っていた。私の隣で、私と一緒に腕を組んでいたのは、翼だった。翼も、綺麗な白い歯を見せて笑っている。


この写真を見るとなんだか、懐かしく思えてくる。あの大きな声援と、何かをみんなで成し遂げようという団結力。私達はあの秋、たくさんの事を学べた気がした。


そして、携帯の着信履歴を見てみる。電車が来るまで、こうして携帯をいじるのが習慣になってきていた。


履歴をみると、最近翼からかかってきたという着信や、お母さんからの着信も多く来ていた。


「ぷぷっ!なつかしい。」


そういいながらどんどん履歴を昔のページに戻す。


するとちょうど5ヶ月くらい前。そこの着信履歴は、今までの着信してきた人の名前とはがらっと変わっていた。



ずーっと続く、正樹という文字。あの頃は毎日のように正樹と電話してた。


しょうもないことでも、笑って、話が詰まると噴出して笑ってしまうような、なんの意味もない電話。でも、お互い声を聞くだけで安心していた。



あの頃は、すごく自分を可愛く見せて、正樹にもっと好かれたいいっしんで無我夢中になって頑張ってた。オシャレとかも人一倍頑張って勉強もした。


でも、今好かれたいと思っていた相手は別の女の子のことが好き。


もう、この現実は変えられないような気もするし、私は今、ちょうど、正樹との恋を忘れられそうな人がみつかったんだよ。