「ほら!そこの生徒2人!はやく教室に戻ってきなさい」


先生は、とうとうキレぎみの声で叫んだ。


「やっべ。そろそろ行くか。」


正樹はそういうと、グランドにある水溜りをよけながら校舎に向かって走った。もう、触れなれないと思う正樹との距離。彼女じゃないって、まわりから一目でわかってしまいそうな、二人の距離感。やば。また涙でてきそう。


「晴笑。」


正樹はほら、っといって、私に手を差し伸べてくれた。


「え?」

「水溜り危ないから、ほら」


俺に捕まってろ、ってことなのかな。正樹は最後の最後までやるよね。もう。


「ううううう。」


「ばっ!!何泣いてんだよ!泣くな!」


「だって、だって~~!」

気がつけば、辛い気持ちなんて消えていた。でも涙はでた。これで最後にするよ。正樹を想う気持ち。ちゃんと捨てられるかな?


「あ!虹!!」

私はそういって指を刺した。空は、綺麗な青空に戻っていて、輝く虹が空にかかっていた。


「虹って人の感情みたいなんだ。どんなにひどい夕立の後は絶対綺麗な虹がかかるだろ?人間もさ、どんなに辛い事があってもその後は、幸せな事がきっとおきるんだって」



正樹はゆっくりと私に言った。今度はちゃんと私の目をみて言ってくれた。そうだね。そらって人の心みたいだ。私の心も虹がかかるときがくるのかな?



きっと、そうなるよ。そう願って



今日も生きていこう。