運転席には黒ずくめのSPみたいな人がいて、助手席にはマナトが座っていた。
あたしは後部座席で隣には可愛い男が乗っている。
高級車の中は終始無言。
たまに隣に座ってるヤツが話しかけてくるぐらい。
「あ、そういえば自己紹介してないね」
そうですよ。なんであたしの名前知ってんのか言えよ。
なんてことは言えなくて。
「僕はキョウね。キョウでいいから」
黙って自己紹介を聞く。
どうやら可愛い系のヤツはキョウという名前らしい。
静かになった車内の中でいろいろ観察しているうちに、車が止まった。
ここがどこかも、降りていいのかもわからないから黙ってキョウを見る。
視線に気づいたキョウはニコッと笑って言う。
「降りていいよ」
という感じで車から降りたけど、あたしは目の前の光景に今までで一番の不安を感じた。
