「あー、近づいて驚かそうとしたのに缶倒しちゃった。」

そう言って近づいてきた彼。

「鼻は大丈夫?」

今朝廊下でぶつかった彼だった。

「あ、大丈夫です…。」

「そ。ならよかった。」


そう言いながら自然と私の横に座ってきた彼。

「あの…?」

「ん?」

朝から実はずっと気になってた。
何故彼が私の名前を知っていたのか。

「なんで私の名前知ってたんですか?」

「あー…、…僕は君のストーカーだからかな。」

ふっと笑って答えた彼。

「ストーカー…?」

「うん。」

ストーカーって犯罪です。

冷静にそう思ってる自分がいる。
彼が言ってることが嘘だってわかってるから。

「ストーカーさんですか。それは困りましたね。」

「ぶっ!!棒読みじゃん!!」

そう言って大笑いし始めた彼。

笑うと可愛いんだなぁ。

お腹を抱えて転がりながら笑っている。

「ストーカーなんて信じてませんよ。」

なんかこの人のせいで今日は調子狂うな。

チラッと見た腕時計。

 13時23分

授業が始まるまであと2分しかない。

「やば!」

私は慌てて立ち上がりドアまで走ろうとした。

「待って!」

「え?」

そういって私の腕は掴まれた。