不振そうに此方を見るそいつに、目を細める。 俺がもう一度呼び掛けても何も反応しない。 本当に捨て猫みたいだ。 いや、猫の方がまだ可愛げがある。 「なにしてんの?」 屈んでそいつと目を合わせる。 瞬間、微かに目が揺れた。 傘を少しだけ傾ければ、俺とそいつにだけ雨が避けた。 「捨て猫?」 「猫じゃない」 初めて返ってきた返しに、思わず吹き出した。 そいつの眉間にありありと皺がよる。 分かりやすい反応。 (だって突っ込む場所、そこだけかよ) こいつは誰かに捨てられたのか?