超能力的生徒会 in 蝶野学園 【番外編】

要side

「杏樹、顔が真っ青だけど」

マジで真っ青。
凄いなぁ。
人間の顔ってこんな色にもなるのか。

「あそこに本物の霊が...あっちにも」

実は杏樹、皆の前ではああやっているけど、
結構、本物の霊は怖いらしい。

と、言うか、悲しいらしい。

「ねぇ。杏樹。何でそうなるのに、お化け屋敷に入ったの?」

さっきから、杏樹は俺の服の裾をつかんでいる。
こんな杏樹、普段見れないから、さっき、止めたんだよねぇ~。

「だって、お姉ちゃんに腹が立ったんです」

なるほど。
これはよくあること。

「でも、要にも腹が立ちました」

「何で?」

「だって、さっき、止めたじゃないですか。知っている癖に」

拗ねる杏樹。

う~ん...

俺って実はロリコンだったのか?

「あ、あっちにも。そこにも。何でここのお化け屋敷はこんなにいるんでしょう。ちょっと祈祷でもしないとだめですね」

陰陽師を呼ばないと。

「ねぇ。杏樹、何でずっと俺の服の裾を引っ張ってんの?」

これはちょっとした、杏樹イジリ。
ちなみに、これをやるのは、俺以外のSクラスの人達もたまにやる。

ま、本人は気が付いていないだろうけどな。

「えっと、だって、すみません」

焦って、焦って、謝る杏樹。

俺的には、腕が良いんだけどなぁ。
だって、そのほうが近いし。

でも、杏樹の身長ではギリギリって所か。

俺の身長は185cm。
それに対して、杏樹は155cm。

小学生だもんな。
それにしても、考えると、30cmも差があるのか。

「あの~...要?」

「ん~?」

「置いていかないで、くださいね」

おおっ!
今日はヤケに杏樹が普通の女の子っぽいぞ。

「あの、要。私、なんと無く、身の危険を感じるのは気のせいでしょうか」

はっ!

いけない、いけない。
そうだ。杏樹は普通の人間よりも感が鋭いんだった。

何か不純なことを考えてはダメだ。

気を付けねば...

「あ、出口ですよ!やっと出られる...」

見れば、もう出口にたどり着いていたらしい。

杏樹はパッっと顔を明るくして、
出口に向かって走っていってしまった。

もう少し、普段と違う杏樹を見ていたかったなぁ。

また今度、つれてくるか。

俺は、杏樹を追って、出口に向かった。


要side 終わり