「今日はやけに早いな。何かあるのか?」

時刻は7時。自転車通学で15分もあれば通える高校なので、普段は8時過ぎに家を出る。

「んー、何となく。早く目が覚めちゃって、家に居てもしょうがないし…早く行って運動部の朝練でも見たりしようかなって。」

「そっか…。合格発表までもうすぐだな。」

「うん。受かれば高校に続いて大学も康くんの後輩になるね。」

そう、康祐は堀北高校出身で愛生が受験した大学の経済学部出身だったのだ。

「まさか本当に受けるとは思わなかったよ。…文学部、だっけ?」

「うん。文学部の英文学科だよ。」

そんな話をしながらエレベーターで1階まで降り、マンションのエントランスを出た。

「じゃあ、お仕事がんばってね」

「ああ。愛生も学校頑張って。気をつけてな。」

「うん。行ってきまーす」