雅紀
「そんな攻めなくても。
気づかないうちに何かを
忘れることなんてよくあるって!
俺もよくあるし!!」



定期入れがあるのに、気づいたら
中身がないなんてこともあったなぁ…。
懐かしい。


昔の過ちを懐かしんでいると
叔母ちゃんが笑った。



「雅紀君と慶兎君を一緒にしないの」



…助け船を出した俺が、
すごく貶されました。何故ですか。



「慶兎君は普段そんなミスしないのよ。
慶兎君と雅紀君は全く違うから。
雅紀君は普通じゃないの」



ふ、普通じゃないって。え、



雅紀
「あれ、それ酷い…。」


慶兎
「雅紀兄は特殊なんだよ」



………は?



睦月
「雅紀兄は天然で慶兎兄はバカ!」



ん……?



慶兎
「…お前に言われるとか…。
俺、今日が山場かも。
雅紀兄の場合は同感だけど」



あれ?みんなどうした…?
俺、凄く切ないんだけど。



「さて、片付けるか!
慶兎君もご飯食べてね」


慶兎
「はーい」


雅紀
「………え?何この状況」


睦月
「…………」ニヤァ


慶兎
「…………」ニヤァ



叔母ちゃんならまだしも、
弟に空気を拐っていかれた俺。


助け船を出したつもりが、その船は
見事に救うつもりの弟によって
沈められてしまったようだ。



雅紀
「兄としての俺の立場、Come back…」





雅紀の切な過ぎた、とある一夜の話でした。




*END*