慶兎が、帰ってこない。



現在時刻、8時55分。
あと5分で9時だ。



いや野球をしてるとは言え、
ここまで時間がかかるとは聞いていない。



―――――らしい。



全て叔母ちゃんから聞いた話。
只今、叔母ちゃんが御立腹だ。



「……………」


雅紀
「……………」


睦月
「……………」



リビングでの沈黙時間。辛すぎる。



「…遅い…遅すぎる。」



叔母ちゃんとりあえず、
落ち着いてください。


ソワソワしすぎです。



雅紀
「ま、まぁ、その内帰ってくるって。
今日は練習が遅くまであったんだよ。
…きっと」


睦月
「もしかして慶兎兄が
不良に絡まれてたりして」



ピクッ



叔母ちゃんの肩がピクリと反応する。
睦月のアホ!!



雅紀
「お前少し黙ってろ」


睦月
「いてっ」



余計な事を言うな、弟よ。



そんな会話を繰り広げていると、
慶兎が帰ってきた。



慶兎
「ただいまー…」


雅紀 睦月
「「!!!!」」


((やっと帰ってきた…!!))



「…遅い。今まで何してたの」


慶兎
「練習。」


「何時まで?」


慶兎
「8時まで。今日は熱があって
キツかったから、
途中で休憩入れながら帰ってきたんだ。
心配かけてごめんなさい」



ペコリと頭を下げる慶兎。
叔母ちゃんも安心したようで、
ふぅと息を吐く。