弟その1


『燐(りん)』の場合...



雅紀
「今日課外がないから、
ゆっくり家を出れるな」



麦茶を飲みながら俺は呟いた。
小・中学生トリオが、
家から次々と出ていくのに
少しばかり優越感を覚えながら、
最後に出ていく燐を見る。



そして、唖然。



雅紀
「……は?お、おい!!燐!!その服…!」



私服で家を出ようとしている、
我が弟の姿があった。



雅紀
「おまっ!?制服は!?」



「あ?…あー、重いから
彼女の家に置いてきた」


雅紀
「重いって…、お前。学校に私服かよ」



「俺、毎日これで行ってるんだけど?」


雅紀
「へ、平常点……」



「“0だ”って言われたから、今更だろ。
んじゃ、行ってくるわ」



ガラッ



ガシャン



雅紀
「…………」





*END*