「そうですか。それでは気をつけてくださいね」


メガネの奥に見える瞳が俺の姿を捕らえる。


なんつー冷たい瞳してんだか。




菅山先生と瞳があった直後全身を寒気が襲う。


「では、私、次に授業がありますから」

菅山先生はそう言うとツカツカと背筋を伸ばして颯爽と歩いていった。















「はぁ〜……」

息が詰まる。



なんかドッと髪の毛が抜け落ちるんじゃねぇかって心配するくらい疲れた。




「あっち〜」

茶色い髪をかきあげ、意味の分からない英語の書かれたTシャツの胸元を掴んでパタパタと仰いだ。




俺は、あんたみたいな教師になんてなれねぇよ……親父。


「くっそ!!」

気付けば、俺は壁に向かって力いっぱい殴っていた。




「いってぇ〜」

赤くなった拳を見て笑えた。





「バカだ……」

さっきまであんなに騒がしかった廊下も授業中になれば静かになる。


この静かさが俺は好きだった。