テカテカと輝く口唇に満足し、あたしは鼻唄を歌いながら机の中にある数学の教科書を探す。



「あっ、そういえば昨日飴買ったんだっけ」


あたしは机横にかけたカバンから飴の詰まった袋を取り出した。





「ほのか〜?飴なんて菅山に見つかったら没収されちゃうよ?」

とやっちゃんは言うけど、わかってないなぁ。


ふ〜っとわざとらしく溜息をついて、やっちゃんの目の前に人差し指を立てズイっと近寄る。




「やっちゃん、先生はね、本当は優しいんだって。だから、あたしが飴持ってても没収なんてことはないの」






これは、勝手な解釈だけどね。

でも、自信があるんだ。


先生は、あたしに没収とか怒ったりとかしないの。




あたしだけ、……“と、特別扱い”してくれるんじゃないかって。



そう思うんだ。





それに……
「それに、これは先生にあげる飴なの♪」

「はぁ??なんで?」



さっき話してた時、先生喉の調子が悪かったから、飴でも舐めたらマシになるんじゃないかなって思ったんだよね。