その場を満たせれば、それでいい。


「……俺はアナタに愛情を抱きました。」
「――やめろ。」
「冬弥(トウヤ)…藤崎 冬弥、それが俺の名前です。」
「やめろって言ってるんだ。」


僕は彼の広い胸板を押し返す。

けれどその手を取られ、ベッドへ押さえつけられる。



「俺はアナタが、」
「…………っ」
「――好きです。」



耳元で彼は確かに囁いた。



「そんなものは欲しくないと言った。」
「受け止めていただかなくてもいいです。ただ、知っていて欲しかった。それだけです。」



彼は上から退き、僕を抱き起こした。