「だってめんどくせーじゃん。いちいち人のこと考えんなよ。つぅか、別にいいの、俺のことは。気にすんな。」

僕は美苑に向けて指をさしそう言った。



「?!気にすんなって・・・。人がせっかくっ・・」


美苑が何か言おうとしたけど、



「だから、お前は何にも気にしなくていいっつってんの!俺が遠く見てたっていいじゃん。浸ってたっていいじゃん。悪いの?」

僕がそれを遮ってしゃべった。


なんか美苑を責めてるみたいで変な気分だけど・・



「悪く・・ない・・・・けど・・・。でもさ!」


美苑はまだ何か言いたげだ。



「だからいいの!俺のことはッ はい、行くよ!」

僕はさっさと先を歩き出す。


「ちょっとぉ!」


それに美苑もついてきた。



茜色に染まっていた廊下の床は少しずつ陰になって消えていった。



その廊下のずっと先からも、さっきから響いていた話し声が聞こえなくなった。