山根さんが感心したように呟いた
「しかし お前はたいしたヤツだよ
若林以外にも そんな勇気のあるヤツがいたんだなぁ」
「若林さんって誰ですか?」
「おぉ 聞きたいか そうだろう そうだろう 教えてやるよ
まどちゃんの前の恋人だよ」
えっ? 円華の恋人? そんなヤツがいたんだ
「工藤 お前 今 たじろいだな?そりゃそうだろう これは爽快!」
「いえ そんなことありません 円華に前の恋人がいても
それがどうしたんですか 結婚したのは俺ですから!」
コノヤローと また鉄拳が飛んできた
散々な目にあった
それにしても 若林という男のことが気になった
三人の前ではそんな素振りは見せなかったが やっぱり気になる
帰宅すると 円華はまたソファーで寝ていた
「ただいま まどか まどか」
今日は目を開けて俺を迎えてくれた
「あっ お帰り 楽しかった? でも いじめられたでしょう!」
今日の様子を見ていたかのような返事
「まぁね」
彼女の顔の表情からも あの三人が みな円華のファンだったのかと思うと
抑えていても可笑しさがこみ上げてくる
「今夜は何を食べたの」
「食べてない 食欲がなくて」
急いでリゾットを作った



