続・結婚白書Ⅱ 【手のひらの幸せ】



そんな時 どうしてこんなタイミングが生まれるのだろうか

女の子達と入れ違いに 円華の同期の山根さんたちに会った



「工藤聞いたぞ 円華さん大変だったんだってな 過労か?」


「ストレスからくる胃炎だろうってことでした」



山根さんも丸田さんも 一様に眉をひそめた



「彼女のことだから頑張りすぎたんだろう 

なんでも一生懸命で手を抜かないからなぁ

工藤 おまえ まさか家で円華さんをこき使ってないだろうな!」


「そんなことしませんよ 惚れた女房ですから」



二人の顔色を伺いつつ 上目遣いに言い放ち この前の仕返しをした

このヤロー! と二人の拳が飛んできたが ひょいと後ろに下がり拳をかわす

山根さんが悔しそうな顔をしたが ふっと口角を上げ俺を見返した



「おまえなぇ 俺達が知らないとでも思ってるのか 

円華さんを抱きかかえて運んだのが誰だってこと

心中穏やかじゃないだろう えっ? どうだ? ははは……」



負け惜しみのような高笑いを残して 二人は立ち去った 

くそっ! またアイツのことか

俺の知らない昔の円華を知っている男達の行動に またも思考を乱された





少しずつ円華の体調も戻り 胃痛を訴えることもなくなった

検査の結果 大きな病気に繋がる恐れはないとの診断だった

ただ 胃の中に炎症があると告げられた