続・結婚白書Ⅱ 【手のひらの幸せ】


医務室のベッドに寝かされた円華の顔は蒼白だった

ここにきてから 何度かもどしたらしい

血の気のない顔が俺を見ると力なく笑った



「ごめん 我慢してたんだけどダメだった」


「どうして我慢なんかしたんだ 逆にみんなに迷惑をかけるだろう」


「うん そうだね」



電話中だった玲子さんが戻ってきた

俺達の会話にため息をついている



「まどちゃんに聞いたら かかりつけの病院があるって言うから電話しといたわ

工藤君あとはお願いね 何日か休んでゆっくりすること!

縛り付けてでも休養させてちょうだい」



玲子さんに見送られて医務室をあとにした





病院へつくと すでに予約が入っており 全く待たずに診察室に通された

診察のあと 数日分の薬が処方され 短時間で病院を出ることができた

後日 胃カメラの検査をするというおまけつきで……





病院の帰り 自宅のマンション前を通り過ぎてしまった車に 

円華が あれっ? と声をあげる



「どこに行くの? 買い物?」


「お義母さんのところ さっき電話しといた」


「どうして? 私そんなに重病人じゃないのよ」


「監視がいるんだよ 一人にしたら すぐに動き回るだろう」


「そんなぁ」



それには答えず黙っていると とがった口がモゴモゴと不平不満を並べた

なんて言おうが 今は円華の体が大事だ

仕事なんてどっかやってしまえ

そう言いたかったが 黙って彼女の愚痴に付き合った