仕返し屋

…―月曜日。

「今日、部長と舞企画の売り込みに他社にプレゼン行ってくるみたいよ。」

美鈴が出社すると、同僚のマキがそう囁いた。

「舞もいい気なものよね。
元は美鈴に任された仕事だったのに。」

「…もういいのよ。決まってしまったものは仕方のないことだし。」

美鈴はニコニコと愛嬌を振りまきながら、男性社員と話す舞を見つめながら、そう呟いた。



…そう…

もういいの…―。

私にはどうすることもできないけどね…―。

「…美鈴?」

美鈴は自分の唇が笑みの形をつくっていることに気づき、はっとした。

「どうかした?」

マキがいぶかしげに尋ねてくる。

「ううん。何でもないわ。」

軽く首を横に振り、美鈴は答えた。