「ひゃいひょおっ!いいはへんはひゃひへくはさひっ(会長っ!いい加減離してくださいっ)」


「ん~?なにいってんのかわかんねぇなぁ。ちゃんと日本語を話そうぜ、初音チャン」


100%アンタのせいだろ。


そんな屈辱を受けてあたしが黙っているわけがない。あたしのなかで史上最高の力を振り絞って会長の腕からなんとか逃げ出した。


「っはぁはぁ…。会長…いい加減にしてください。やっていいことと悪いことの区別がつかないなんて、子供ですか」


「オレはまだ子供だけど?」


「そうですか。そうですよね。こんなことするなんて、子供のなかの子供ですもんね」


「まぁ同い年のオマエも子供だけどな~♪」


「同い年の子供だとしても、頭の中身が違うんですよ。分かります?」


「だからさ、テストではオマエよりいつも上位だって」


「そうよそうよ!大翔の方が頭いいじゃない!」


会長の方の女の子が割り込んできた。これは厄介だな…。


っていうかまたこのやり取りをしてしまっている。…なんかとんでもなくバカらしくなってきた。時間のロスだし。


「…そうですね。会長の方が頭いいですよね。じゃあこれから授業なので。みなさん遅れないようにしてください」


手っ取り早くバカらしいやり取りをやめてあたしは教室に入ろうとする。


でもそこで、会長があたしの耳元で囁く。




「初音…放課後覚悟してろよ?」