「初音おはよう。はい、お弁当」


あたしの自慢のお母さん、鷹野亜夢が綺麗に包んだお弁当を手渡してくれる。


「ありがとう。じゃ、行ってくるね」


「うん。行ってらっしゃい」


お母さんはいつも優しい笑顔で手を振って見送りをしてくれる。


お母さんとお父さん…鷹野煉はなんだか大恋愛だったらしい。
小説家のお父さんは最近は書斎に籠りっぱなしだけれど…。


そんなお父さんを気遣って、お母さんはいつも書斎に足を伸ばしている。


お母さんの友達の茉希さんに聞いた話だといざこざも何度かあったけど無事にゴールイン。


今も昔もラブラブらしい。それは二人を見てたらすぐに分かるけど。


「…それはお母さんとお父さんだからでしょ。他の人だったら、どうなってるか」


あたしは恋愛についてまた独り言を洩らす。それくらいに、恋愛と言うものには興味がない。


そんなことを考えていると、学校の正門のところに着いていた。


荷物を物陰に適当に置いて正門に立つ。
この学校では風紀委員がないから代わりに生徒会が朝の服装検査を行っている。


今日はあたしの当番だ。