舞台上のヒエラルキー



「うおお…」

煌びやかな外観、帝国劇場。

「かーりーんーー早く入ろう!もう開いてるよー」

慣れているのか、百合はもう既に劇場に入っている。
さっき渡されたチケットを受付の美人な
お姉さんに渡して、半券と他の舞台の宣伝のチラシの束をもらう。


「花梨!早くー」

「あ、はいはーい」

百合に連れられて席に着く。
後ろの扉から入って、チケットの席を探す。


14Dってことは14列目か。
しかし周りを見渡すと、明らかに14列を通りすぎている。


「ねー百合、ここら辺じゃないの?」


「あー、違うんですよ花梨さん。」


百合が指を立て横に振った。


「舞台の座席は、アルファベットが縦の列なんだよー!だから、A、B、C、D…」


歩きながら百合が続ける。


「で、横の列が数字。ここの劇場はだいたい横30シートだから、座席はここになります!」


また百合独特の大袈裟な所作で座席を指差した。


「…え」


前から四列目、舞台の目の前。


「一番見やすい席だよ。」


百合が言う。

無論、幕が閉まっているものの、圧巻。
天井は見上げる程高く、後ろを向けば二階席、テラス席も。