【短編】拝啓、初恋のキミへ。



―咲也side―


『夢だったんだ。

同じ高校入ったら、昔みたいに一緒に帰れるの』



そう言ったとき、橘の顔は悲しい笑みを浮かべていた。


「今日は私がこんなんでダメになっちゃったけど……。


いつかまた、一緒に帰れる日が

来るかなア……」


とうとう泣き出した“美佳”



「美……」


高校に入ってから、初めて橘を美佳と呼ぼうとしたとき、運悪く保険医が戻ってきた。



ガラッ!


「橘さん!
車、用意できたわよ!」