【短編】拝啓、初恋のキミへ。


―咲也side―



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特講が終わる頃には、小雨だった雨が本降りに変わっていた。


「うわーっ、すげー雨!」


「傘持ってきてねーよー」


「俺の傘入ってくんなよ?
ヤローと相合傘する趣味は無ぇ」


「咲也つめてー」



そう言って帰って行く友人。


俺は笑いながら、何気なく窓の外を見た。



そこに見えるのは、外灯の下で、鞄を両手に抱え、うつむいている橘の姿。