「全員集まったな。これから本日おこなわれるANSEM対人演習の説明を行う。」

今話しているのが小隊長。
アリス・クロウディアだ。
戦闘技術、統率力、判断力に優れた頼れる私の先輩だ。
この小隊には、私と美穂、アリスさんと、アリスさんの同期オルガ・カミンスキーの4人で構成されている。
オルガさんは、いつも無口でちょっと不思議な人だ。戦闘能力は確かなのだが。

アリスさんが口を開く。
「今回の演習では、私達が2グループに別れて、ペイント弾での模擬戦形式で行われる。片方がパラケルフィアに、もう片方がANSEMに搭乗する。」
「たいちょーう!で、どう分けるんですか?」
「もう決まっている。パラケルフィアに矢谷とカミンスキー、ANSEMに私と神坂が搭乗する。」
「げっ!あたしパラケルフィアじゃん... パラケルフィアで美穂のANSEMなんて倒せるわけないじゃん...」
「.......大丈夫。絶対勝つ。」

そもそもこの演習はANSEMのパラケルフィア戦における優位性を証明する為のものだ。パラケルフィア側に勝たれては開発スピードが遅くなってしまうのだが。

「尚、この演習ではパラケルフィアに独自チューンを施し性能を向上させてある。ANSEMの優位性をより確固たる物にする為にな。」
「でもなぁ~....」
「演習は一時間後に行なう。解散!」

「うへぇ〜」
ブリーフィング後、明らかに美穂は落胆してる...
「戦う前からそんなだと勝てないよ..」
「千里はいいよね〜 パラケルフィアより遥かに高性能のANSEMに乗れるんだもん..」
「美穂だって何回も乗ってるじゃない」
「パラケルフィアで戦うとなると..まあいいや。こっちはこっちなりに頑張るよ...オルガさんと作戦の打ち合わせしてこよ...」
「が、がんばってね〜...」
私は黒いオーラを身に纏った美穂を見送った。美穂の事だから30分もすれば忘れているのだが。