「こちらCP。雷神が上がった。各員、落雷まで持ちこたえよ。」
千里達のシャトルが空へ上がった事が、防衛ラインで戦う兵士達に告げられる。
「いよいよだぜチャイニーズ!もう後がないぞ...!」
ハルトルート・クラヴヴェルは呟いた。
「油断はするなよ。いくらANSEMだからといって長時間の接触は禁物だ。」
ヴィルフリート・エッフェンベルグが声をかける。
「わかってますって。しっかしまあ、次から次へと..」
アロイス・バルテルスが愚痴を漏らす。

彼等3人は、ドイツのエリートパイロットだ。落雷作戦における防衛ライン担当として招集された。
パラケルフィアでのsem撃破記録のレコードを保持する凄腕達だ。
「"女神達"が降下と同時に俺達もバックアップに向かう。それまでに可能な限り敵を消しておけ。」
ヴィルフリートの機銃が火を吹く。的確に、そして着実にsemの数が減少する。「ケッ!俺達は脇役ってか!面白くねえなぁ!」
ハルトルートが炎獄を振り払う。
semの残骸が雛菊の足元に転がる。
アロイスも莫大な数のsemを仕留めている。
彼等3人の動きは、まさに鬼神の如く、semを薙ぎ払っていた。
銃弾を放てばその数だけ敵が倒れ、炎獄を振ればその周りの敵は両断される。
緩急のついた動きで戦場を飛び回り、彼等が通った後に残るのはsemの亡骸だけだった。
「女神といえど失敗はある。俺達が協力して確実性を高めるのが役割だ。それを忘れるな。」
「了解了解...ったく退屈だねぇ...」
「ひょっとしたら、獲物は俺達が取れるかもしれないんですね?」
「できれば、それは避けて欲しいがな...」
雛菊の性能を、千里達以外で引き出せているのは恐らく彼等くらいだろう。
semにまだ触れてさえいないのだ。

「中央への突破ルートは粗方開けたな...アロイス。女神様を呼ぶぞ。信号弾を。」
「分かりました。信号弾、撃ちます。」
曇った空に一筋の光が昇る。
「お手並み拝見といきますかねぇ。可愛い女神様...」
「目標へ向かう!全機、跳躍!」
3つの黒点が、地上を駆ける。