12月24日...
ついに雷神作戦の決行日だ。
全ての人員が休む事なく動き回っている。
この作戦に全てがかかっているのだ。
失敗は許されない。そう思うと、千里は緊張するのだった。
もう既に前線で雛菊に乗り換えた兵士達が戦闘を始めている。
千里達はシャトルに雛菊ごと積まれ、遥か上空へ向けて出発した。
その機内での事だった。
「千里、緊張してるの?」
「クロウディアさん...はい、少しだけ...」
クロウディアは千里を気遣う言葉を投げかけた。
「アリスでいいわ。これからは生死を共にする戦友だもの。それに、苗字で呼ばれるのは苦手だしね。」
「クロ、いえアリスさん..ありがとうございます。」
「...そういえば、私の過去、まだ貴方に話していなかったかしら。」
まだ投下までには時間がある。美穂は神頼みをしているし、オルガは外を眺めている。そんな時間に、アリスは千里へ語りかけた。
「私は、貴方や美穂とは違って、semが現れる前から軍人だったの。それは知ってるわよね?それで、semが現れて、パラケルフィアがsemの手に堕ちてから、私の元居た小隊もsem掃討に駆り出されたの。」
あの事件では殆どの国連軍兵士が動員された。それほどまでに重大な事件だったのだ。
「オルガも一緒の隊だったの。オルガと私含めて7人いたわ。あの頃はね。でもね、戦闘を続ける内に1人、また1人...全員semに殺された...中にはsemに乗っ取られて、私達に襲いかかって来るようになってしまったのもいた...辛かったわ。別物とはいえ、さっきまで味方だった機体を撃たなければならなかった事は... だからね、私とオルガは許せないの。見境なく人々を殺戮しようとする中国がね。」
「アリスさんにも...やっぱりみんな、色々な事情を抱え込んでいるんですね... 私は、そのsemに大打撃を与えられるのに、それに緊張してしまって、自信が持てなくて...本当に情けないです。」
千里達が失敗すれば、中国はさらに警戒を強化するかもしれない。普通の人間なら逃げ出したくなるような重荷なのだ。
「千里、この作戦の名前、覚えてるでしょ?」
「雷神作戦...ですよね?」
「そう。その作戦の核となる部分が私達。私達は上空から一気に攻め込んで中国軍司令部を制圧する...つまり、私達は、この作戦における"雷"なのよ。」
「雷....」
「そう。雷は一度狙った目標には必ず落ちる。失敗する事なんて無いわ。隊のみんなを信じなさい。」
「私は1人じゃない...ありがとうございます。自惚れていました。」
ふと、千里から笑顔がこぼれた。
「やっと笑ったわね。」
「あ...」
「いいのよ。それくらいが丁度いいわ。」


「 Control tower here. Notice to each member. I will start soon. Are you sure you want captain, ready?(こちら管制塔。各員に通達。間もなく発進します。準備はよろしいですか?隊長) 」

「 OK. I can put out at any time.(OKよ。いつでも出してちょうだい。) 」
アリスが流暢な発音で返答する。

いよいよだ。中国に、雷神が裁きを下す時がやってきた....