「この機体の装甲には、semの侵食をある程度の時間耐え忍ぶ事ができる機能をそなえております。しかし、長時間の接触には耐えられません。そこで、この機体は従来の兵器の運用思想とは異なる、高機動による撹乱戦法を主眼とした、敵に近づき、一撃を加えてすぐに離脱するといった、ヒットアンドアウェイを得意とする機体になっております。」
アルダートン司令が淡々と雛菊の仕様について説明している。
「そして、この戦法の要となるのがこちらの兵器。semに侵食された兵器を攻撃する際、こちら側にsemが移ってくるといったかつてのリスクから考案された、溶断刀 炎獄 であります。
ここ炎獄は、刃となる部分に溶断レーザーを展開させ、超高温による文字通り溶断する武装でございます。semは武装表面の温度で活動を停止させますので、今までの心配は無用というわけです。又、遠距離用の武装としては100mm機動掃射砲をはじめ、レーザー照射砲、多弾頭追尾ミサイルを標準装備しております。」
千里達の実験データから生み出された装備や武装の数々。
これだけあれば、中国等恐るるに足りない。誰もがそう思えた。
「来たるべき雷神作戦において、我々は、これほどにない切り札を手にしました。どうか、中華の悪行を断つ存在にこの機体がなり得ん事を...!」

開場が歓声に包まれる。

いよいよだ。千里はそう胸に言い聞かせた。