雷神作戦が発動する1ヶ月前。
ANSEM第一世代型「雛菊」のお披露目が本日行われる。
その席には、雛菊開発に携わったメカニックスタッフ、そして千里達が居座っている。その他に、国連事務総長や日本国総理大臣、アメリカ大統領などの各国首脳も集まっている。
人類の切り札が生み出されたのだ。今回ばかりは盛大にしたいらしい。
「うっわぁ〜すぅーっごい人だね〜」
美穂が呟く。
美穂は賑やかな事が大好きだ。今回も楽しみにしていたのだろう。
「さあ、そろそろ時間よ。」
クロウディアの言葉と同時に、一人の男が壇上に現れた。
千里達が所属している国連軍嘉手納基地司令、イーニアス・アルダートンだ。
司令はマイクに手をあて、声を放った。
「本日、ここにこれまでの大人数に集まっていただいた事、光栄に思います。私はイーニアス・アルダートン、当基地の司令を務めており、間もなくお披露目となる、対sem用機動兵器Anti-sem通称ANSEMの開発計画の主任を務めていた者です。では、早速ですがご覧いただきましょう。第一世代型ANSEM 雛菊 の勇姿を...」
ゆっくりと、シャッターが上がる。
中から徐々に姿を現す、1機の人型機動兵器...
シャッターが上がり切ると同時に、歓声が沸いた。
その観衆の前に佇むのは、黒を基調とし、赤のラインが入った1機の雛菊であった。
千里達も拍手を贈った。自分達が貢献した機体だ。それがいま、拍手喝采の渦の中心になっているのだ。
これほど嬉しいことはない、と千里はうっすらかんじているのだった。