「はぁ…」 
塾帰り。
ため息は白く、しんしんと雪は萌を冷たくする。 …あれ
ふと、顔を見上げた萌の視線の先に、キャスケットを深くかぶった男の人が古びた祠の前に立っていた。 …初めて見た
挨拶もせず、通り過ぎた。
まだまだ雪は止みそうになかった。
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いつものように昼前におきた。俺には、前みたいに起こしてくれるあいつはもういない。
朝飯の前にすることがある。
キャスケットを深くかぶり、黒いロングコートをはおった。あいつの好きだった花を持ち、外に出た。
…今日も雪か

祠に着いて手を合わした。
…元気か?砂彗。お前がこの世に居なくなってから1年が過ぎたが、俺は元気だ。いつでも帰ってこい。

来た道を戻る際に、中学生に会った。幸せそうだった。
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次の日も、同じ道を通り、あの祠の前を過ぎた。 あの人は、居なかった。
「関係無い人だけど…」
萌は、空を見上げた。
…きっと又会えるよね?
そう、微笑んだ。

END*