かかっていた大きな布を腰に巻いて、ぼくは外へ出た。 どこまでも、続いていく白く、無機質な廊下に冷たさを感じた。 どれくらい歩いたか、分からなくなったころ、廊下は突然途切れ、外の世界につながった。 皮膚が縮んでいくのが分かるほど、温度が急激に下がった。 吐く息は白く、上半身が裸なのはとても寒い。 それでもその寒さが気にならなかったのは、夜空に浮かぶ月がこんなにも大きくて、こんなにも綺麗なことを知らなかったからだと思う。