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「昴カンパニーの社長の好物分かる？」
『下村様は最中がお好きです』



　会社近くの小さな和菓子屋さんの最中が大好きだ。某有名店を贔屓にしていたが、どうしても間に合わず代わりに出したら高評価を頂いた。



　それからはそこの最中を持たせている。



「嫌いな食べ物は？」
『生ものです』
「ありがとう」
『失礼します』



　これから下村様に会うのだろう。なら大事な事を言わないと…。



『部長…』



―…
――…
―――…



『初めまして。佐原と申します』
「噂はかねがね」
『恐縮です』



　君島が教えてくれた最中を出すと表情が緩んだ。今は此処の最中しか食べないと話してくれた。



『３歳の女の子のお孫様がいらっしゃると聞いたのですが』
「そうなんだよ」



　写真を数枚見せてくれた。



　これも君島情報だった。孫の話しをすると確実に要望は聞いてくれる。