現実に戻ったのは一瞬だけで、

手はスプーンですくっているのに、

口はアイスを受け止めているのに、

喉はアイスで潤っているのに、

頭だけ、

どこか別のところにあるような、

そんな感覚。

もうあの写真を、

見ていないのに、

脳裏に焼きついていて、

あの深い碧から離れられない。


「今日の勇気、おかしいよ?どうしちゃったの?せっかくのデートなのにー。」


いつものボクならば、

『デート』という言葉だけで、

過剰に反応していたかもしれない。

それすらも、

どうでもよくなってしまった。

写真一枚で、

こんなにも心が動くなんて、

こんなにも感動するなんて、

自分で自分にびっくりした。