「ねね、勇気。」


「ん?」


下げてきた食器を、

洗い場で片づけていたら、

ちょっと前に洗い場にきた、

千尋に声かけられた。


「そういえば今度の金曜日、ヒマある?」


「シフト見てみないとわかんねー。」


「それは大丈夫!今見てきたから。勇気、入ってなかったよ。」

目をまんまるにして、

手をパチンと叩きながら、

千尋は自信満々に答えた。


「んで、なに?」


「この間ね、素敵なお店を見つけたの。一緒に行かない?」


「洋服系?食べ物系?それ以外系?」


「食べ物系!」


あまり洗い場では長居ができない。

結局は勢いでバタバタと決められて、

断る余裕すらくれなかった。