ボクは、

家もお母さんも、

見えなくなるまで手を振った。

そして曲がり角を曲がった後は、

手を振るのをやめて、

窓から顔を出したまま、

ずっと外を見ていた。


「高橋。顔出してっと、あぶねーぞ?」


雅史に声をかけられるまで、

ボクは、

固まったかのように、

外を見たままずっと動かなかった。