「有希。」


雅史が、

ボクを『有希』と呼んだ。

今のが二回目だった。


「俺、有希の好きな奴に負けたくなかった。有希のファーストキスを奪いたかった。いきなりごめんな。」


顔を合わせづらくて、

何を言えばいいのか、

全くわからなくて、



ボクは、

聞こえないふりをして、




食器洗いを始めた。