恋物語






どうして逃げるの?



私は逃げない。
逃げないから。

気づけば、私の手は、藤堂くんに向かって伸ばされていた。


「っ」


そのまま藤堂くんの手を掴む。

あの、あったかい手に。



その瞬間、
私と藤堂くんの視線が合わさった。

夕焼け色の藤堂くんの目に、私が映る。


あ、同じだ。

私も、夕焼け色。




そうか…………そうなんだ。



「っ試合、観に来いっ」



捕まえた。



「はいっ」



胸が熱い。
胸が苦しい。

きゅっとなるこの瞬間、私は全てを理解した。



きっと、これがそうなんだ。




今は視線だけだけど、
きっと全部捕まえてみせるから。







私は彼に、恋をした。