恋物語





ぽん




「…………え」


突然、
頭の上に感じる重さ。
……細くて硬い、男の手。

藤堂くんの手だ…。
あ、またあの安心感。


「ぅ、あ、悪ぃ……」

「い、いえ」


本人も無意識だったのか、ひどく狼狽していた。

慌てて引き戻される手に感じる名残惜しさ。
頭に手を乗せ、残った手の感触を確かめた。

ん、あったかい。



「お、のざき」


藤堂くんの声が震えている。
泳ぐ視線は、更に私を避けていく。



「……今週の日曜」

視線を追う。視線が逃げる。

「はい」

「…先輩の引退試合がある」

夕方の太陽に照らされている藤堂くんの顔は、真っ赤。

「……はい」

逃げる視線。


……………。