◆ 小野崎 亜紀
さて………。
上手く藤堂くんに伝わったかな?
背後からの叫び声を無視して、玄関に急ぐ。
私は少女漫画によくある鈍感少女などではない、と思う。
だから玲の話を聞いた時、あぁ、そうか、と納得する事ができた。
玲は、恋をしてるんだ。
多分玲は無意識だろうけど。
なら、私がしてあげる事はただひとつ。
背中を少し押してあげる事。
チャイムが玲の家に鳴り響く、と同時に、私は玄関の扉を開けた。
「あ、境井くん」
「おおお小野崎さんっ!?」
ひどく驚いた様子の境井くん。
あ、そうか。
私がいるのは藤堂くんにしかわかってないんだった。
「玲、いますよ。二階の突き当たりにある部屋です」
「えっ」
境井くんの背中は、きっと藤堂くんが押してくれたはず。
なら私は、きっかけを作ろう。
「早く行ってあげてください、ね?」
「う、うん!ありがとう…!」
