恋物語




周囲がキャーキャーと五月蝿くなる。……という事は。



「境井くんと……あの時の」


歩み寄ってきたのは、実に爽やかな笑顔で手を振る境井くんと、仏頂面でずんずんと歩く……藤堂雅樹くんだった。


「やぁ、小野崎さん……と、望月さん」


ん?
境井くん、玲を呼ぶ時の声が震えてるんだけど。
藤堂くんは目を合わせてくれないし。


「今から部活ですか」

「うん。小野崎さんたちはもう帰るのかい?」

「はい」

「そっか………」


ちら、と境井くんは私の背後に隠れている玲を見る。

……いつもの威勢はどうしたの、玲。

玲は私の制服を掴んだまま話さない。


「玲、どうしました?」

「………………っ」


話しかけると、何かを決心したのか、勢い良く顔を上げた。

びっくりした。
ほんとどうしちゃったの。