恋物語




そう言うと、彼は、


「…そうか」


ふんわりと、笑った。

…………。
あれ、何か、変な感じがする。
胸の辺りが……こう……ぎゅーっとなるみたいな……。


あぁそんな事よりも、お礼、お礼!

ちょっと焦ってしまう私は、どこかおかしい。



「本当に、ありがとうございます」


すると彼は勢い良く後方を振り返り、顔を手で覆ってしまった。
………?
何かいたの……?


「どうしたんですか?」

「なんでもない。なんでもない」

なんで二回答えるんだろう。


「……授業、遅れるぞ」

「あ、そうでした!…では」


軽く会釈し、私は彼を横切る。
何はともあれ、助かった。
あの高さから落ちたら、気絶ぐらいはしていたと思うから。




それにしても………何で安心したんだろう、私。

胸の辺りも………少し、熱い。





風邪かな?