恋物語








「よっ」

「っ」



ぽふっ、と、何かに抱え込まれた感触がした。

予想していた痛みがやってこない。


………あれ?
私……誰かに包まれてる?




「おい、大丈夫か」


ぶっきらぼうな声が真上からして、私は反射的に顔を上げた。


「………あ」


見た事のある顔だ。
つんつんした黒髪に、私よりも更に悪い目つき。



………あの夏の日、私にボールを当てそうになった、男子生徒だ。



長身だからか、私の体は彼の体にすっぽりとはまっているようで……妙な安心感を感じる。


え………安心?なんで?




「ちっ」


不意に、舌打ちが階段の先で聞こえた。

きっと私を突き落とした女子生徒だろうな。
私に怪我を負わせなくて、計画失敗。

そんな感じだろう。