恋物語




「で、何を聞きに行ったんだ?」

「あれ、言ってなかったっけ」

「言ってない」

「じゃぁ教えるけど、耳、貸して」

「ん」


一応、周りに目を配らせておく。
周りの女子たちはそれぞれの会話に夢中で、全くこちらを見ていない。

よし、好機だ。



「望月さんの事を、聞きに行ったんだ」

「…………誰に」

「ほら、望月さんといつも一緒にいる、小野崎さんに」

「……………」



あれ、なんで黙った距離をとるのかな?
ちょ、そんな冷ややかな目で見ないでよ。普段目つき悪いんだから、余計怖くなっちゃうよ。


「……お前、馬鹿か?」

「え?」


ひどく軽蔑した口調で言われた。
なんで?


「なんで本人に言わねぇ。お前、好きなんだろ?」

「ま、雅樹、声ひそめて!」

「何ビビってんだよ」


雅樹はそう言うけど、僕としては大問題だ。
僕は一応、モテる男の分類にいる、らしい。
だから、誰が好きだとか、どの子に興味を持ってるとか、そういう話題は僕を好いてくれている女子たちは敏感なんだ。



……多分、平穏に恋をする事なんてできやしないだろう。




そう、恋。


僕は、恋をしている。