移動はそこまでしなかった。
教室のすぐ隣、選択教室だ。
室内に入るなり、境井くんは真剣な目で、私を振り返った。
うわぁ、女子が騒ぐわけだ。
改めて見ると、凄く格好良い。雑誌とかでよく見るモデルさんのよう。
整って顔はまるで自慢のように輝いている。……モテるのは当たり前だろう。
「えっと、小野崎さん?」
「あ、は、はい、なんでしょう」
………こんな場面は何回かあった。呼び出して、真剣な顔で、迫って……告白して。
何回もあったから、今回もそうなのか、と思う。
自惚れじゃない。
けど、そう予感してしまう。
そして私は断るのだろう。
格好良いとは思うけど………恋とか、好きとか、そういう不思議な感じはしない。
つまり、ときめかない。
やっぱり、私は何も知らないから。
「ちょっと聞きたいんだけど……」
それでも、あまりにも真剣な表情で言うものだから、こちらも緊張してしまう。
そんなに畏まって言われても……。
けど、彼の言葉は、
私の予想の遥か斜めを行っているものだった。
