それでも葵は何も言わないで、ただあたしを抱き締めてくれた。 「良いよ。良いんだよ…そんなのもう」 そうしてあたしは初めてのキスをした。抱き締められた時の体温が切ないほど愛しくて。 「う、ん」 …生きたいって願いたい。ずっとずっと笑いたくて仕方なかった。あたしが生きた日々は無駄じゃないんだって。 麗、お兄ちゃん、葵、お母さん。 あたしは独りじゃない。たくさんの人に愛されてる。だから…強くなれ。逃げるな、あたし。 葵…貴方はたくさんのものをあたしに教えてくれたよね。